登記事項証明書とは?その種類と取得方法・費用までを徹底解説

登記事項証明書とは何か?どのようにすれば取得できるのか?

不動産取引や、会社設立の際に必ず必要になるのが「登記事項証明書」です。司法書士や上司からその取得を依頼されて取りに行き、窓口で申請書に記入しようとして困った人も多いのではないでしょうか。それだけ必要とされる書類でありながら、ほとんど知られていない登記事項証明書について、そもそもどういうものなのか、どのように申請すればいいのかを解説します。

今はなんでもインターネットでできる時代。登記事項証明書の請求もネットでできるようになっています。便利なオンライン申請と郵送での受取について、手数料の比較も合わせて探ってみましょう。

登記事項証明書とは

人が生まれると「出生届」を提出し、死ぬと「死亡届」を提出することで社会がその人がどうなっているのかを把握できるようになっています。

特にそれが法人であれば、どこのどういう人が作ったのか、役員は誰で資本金はいくらかなどの情報が一定の規則にのっとって記録され、誰でも見ることができるようにしておかなければ、本当に実在するのかどうかを知ることはできません。「法人」は物体ではないからです。

法人のように、物理的な実態はなくても存在を示さなくてはならないことがあります。それらを一定のルールに沿って記録し証明するのが「登記事項証明書」です。

2008年に全国の登記簿の記録がデータ化され、オンライン化により、以前は各管轄でしか取得できなかった他の管轄の登記事項証明書を全国のどの法務局でも交付を受けられるようになりました。それはデータ化されている登記事項が対象です。

以前は「登記簿謄本」「登記簿抄本」と呼んでいましたが、電子化されデータとなった現在ではデータ化できない登記情報についての証明書にのみ、その名称を使っています。ただしその中で公図など一部の登記記録は現在データ化されておらず、他の管轄では交付を受けることができません。

登記事項証明書の使い道

法人なら、どこにどのように存在するのかなどを登記事項証明書が示してくれます。それは金融機関で融資を受けたり、新規取引先に正式に登録するといった場合に使います。その他事業内容や決算の調査、株式会社なら複数種類の株を発行している場合の内容の確認、支店の有無やその所在、不動産登記手続きの際は法人の変遷の確認など、およそ法人自体の「証明書」のように用いられます。

不動産の場合、権利関係やその履歴を確認できるため、不動産を買うときに「現所有者の確認」に使ったり、金融機関ならその不動産を担保にしてどれくらい融資されているかなどから新たな融資についての与信判断に使います。

登記事項証明書の種類

登記事項証明書は、証明する対象によって内容やその種類も異なります。ここではよく使う「不動産登記」と「会社法人登記」の種類とその用途を紹介します。

不動産登記の登記事項証明書

不動産の登記事項証明書は、その土地や建物の概要、所有者、抵当権など権利関係の現在の記録や履歴が掲載されており、内容の異なる4種類があります。

全部事項証明書

「登記事項証明書」は、記載されている内容によっていくつもの種類に分かれます。そのうち「現在登記されている内容だけ」なのか「抹消・変更された内容も全部」という分け方をし、後者が必要なら「全部事項証明書」を申請しなくてはなりません。

全部事項証明書には、抹消された事項も含めて現在までの全て、つまり登記の履歴が記載されています。不動産の場合、その不動産が初めて登記されてから今まで所有者となった人の全て、およびそれについて抵当権がついた履歴、抹消された履歴も全て記載されています。その権利関係の変遷は、現在の所有者・権利関係までを含んでいます。

現在事項証明書

もう1つの「現在登記されている内容だけ」が記載されているのが「現在事項証明書」です。こちらには過去の所有者やその不動産を担保にしてお金を借りていたといったことは記載されません。現在効力がある項目のみが記載されています。

「どちらの登記事項証明書を取ればいいのかわからない」ということがあるかもしれませんが、内容を見ると現在事項証明書の内容は全て、全部事項証明書に含まれています。不動産に関わる手続きを司法書士に依頼するとき、また手続きが終わり所有者にその完了の報告としても全部事項証明書が使われます。わからないときは全部事項証明書を取得するとよいでしょう。

何区何番事項証明書

例えばマンションの権利を考えてみると、マンションの専有部分は確かに所有者のものになりますが、マンションには階段やエレベーターなどの共有部分がかなりあります。そういった共有しているものの中に「土地」があり、マンションの敷地の場合はその所有者が共同で所有している場合がほとんどです。そんな場合でも確かに所有者ではありますから、きちんと登記されている以上登記事項証明書を取ることができます。

そんなときの、複数の共有者の中で「共有者〇〇に関する部分」だけの登記事項証明書にあたるのが「何区何番事項証明書」です。その土地に登記されている内容のうち必要な区番の所有部分だけの登記情報が記載された証明書を発行してもらうことができます。

もしこれを「全部事項証明書」で取ろうとすると、共有者が多い分かなりのページ数になるでしょう。その中には必要な部分も含まれますから確かに用は足りるのですが、それだけの量となると面倒ですし、追加の手数料がかかる可能性があります。

会社法人登記の登記事項証明書

不動産と同じように、その権利関係や所在を明確にするために法人についても登記が義務づけられています。それを証明する登記事項証明書には、不動産登記とは違った内容・性質のものがあります。

履歴事項全部証明書

法人の登記事項証明書を取得するときの手数料はいずれも同じです。一般的に「登記事項証明書を取得する」というときはおそらく「履歴事項全部証明書」で十分です。履歴事項全部証明書には役員や称号の変更などの履歴が全て記載されているため、必要とされる会社設立時の税務署・融資を受ける金融機関などに提出する場合がほとんどだからです。

会社名や所在地、資本金、役員名簿、代表取締役の氏名など基本的な法人の情報だけでなく、請求日から3年さかのぼった1月1日から現在までのそれらの履歴が記載されています。

現在事項証明書

一方「現在事項証明書」には、現在効力を有する登記事項と会社成立年月日、取締役・監査等委員である取締役・会計参与・監査役・代表取締役・特別取締役・委員・執行役・代表執行役および会計監査人の就任年月日、会社の称号および本店の登記の変更に関わる事項で現在効力を有するものの直前のものが記載されています。「現在の登記事項」だけをピックアップしたものが現在事項証明書なのです。

閉鎖事項証明書

「閉鎖事項証明書」には「全部証明書」もありますが、希望したものと必ず記載される項目だけの「一部証明書」もあります。住所の異動や法人名の変更など登記事項に変更があった項目で、およそ3年が経過した内容が随時閉鎖事項証明書へ移記されます。閉鎖事項証明書に記載されるようになった項目は、履歴事項証明書にも現在事項証明書にも記載されなくなります。

登記事項証明書の取得方法

登記事項証明書を取得する際は、法務局などに請求を申請し登記所で受け取ることができますが、郵送での取得も可能です。その取得方法を見てみましょう。

登記所で取得する場合

登記所で取得するには、インターネットを使ってオンラインで事前に請求して希望する登記所で受け取る方法と、直接法務局に行って申請し窓口で受け取る方法の2種類があります。どちらもほとんどの登記事項証明書を受け取ることができますが、不動産登記関連のオンライン請求については一部制限があります。

現在事項証明書で登記事項数が500を超えるもの、編集対象となる情報(データ)が5MBを超えまたは証明書の枚数が99枚を超えるもしくは閉鎖された地図証明書はオンラインで請求することはできません。対象に当たる場合は法務局などで直接請求しなくてはなりません。

郵送で取得する場合

またオンラインや郵送で申請し、自宅や会社に郵送してもらうこともできます。オンラインなら登記所の業務取扱時間より長い「平日の午後9時まで」請求でき、パソコンのWebブラウザ上で必要な事項を入力するだけで手続きできるためとても便利です。

参考:「かんたん証明書請求」リーフレット(PDF)

パソコンやインターネット環境がない場合は「郵送で申請する」こともできます。ただしその場合は、証明書発行にかかる手数料とは別に、申請書を送付する郵送料と返送されるときの郵送料を負担しなくてはなりません。

インターネットを使って閲覧する場合

ただ登記内容を確認するだけなら、インターネットの「登記情報提供サービス」というサイトで不動産や法人登記情報を有料で閲覧することができます。登記情報はPDFファイルで提供され、プリンタがあれば印刷もできますが、証明文や公印等が付加されないため登記事項証明書のように公的証明書として使うことはできません。

登記事項証明書を取得するための費用

登記事項証明書を登記所窓口で請求すると600円の手数料がかかりますが、その他の場合を比較すると下の表のようになります。

請求・受け取り方法 手数料金額
登記所窓口で申請・受取 600円
郵送で申請し郵送で受取 600円+往復の郵送料
オンラインで申請し郵送で受取 500円
オンラインで申請し登記所窓口で受取 480円

オンラインで請求すると、最寄りの登記所や法務局証明サービスセンターで受け取る場合は最も安く480円、逆に最も高いのは郵送で申請・受け取る場合で600円+往復の郵送料です。インターネット環境があるならオンライン申請にメリットがあります。

またオンライン申請には他にもメリットがあります。自宅や会社など環境があればどこででも申請でき、手数料はインターネットバンキングやPay-easyに対応したATMで電子納付することができるので収入印紙を用意する必要がありませんし、窓口での受取なら待ち時間が短くですみます。

自分に一番適した方法で取得しよう

そもそも登記事項証明書は、一般人にはあまり縁のないものと言ってよいでしょう。不動産取引はおそらく一生に一度か二度、法人設立や代表取締役になることがなければ名前を聞くことさえないかもしれません。

しかし必要なときは突然やってくるものです。相手は「必要なものだから当然知っているに違いない」と思い込み直前に取得を依頼するかもしれませんし、それを取りに行く時間が取れないかもしれません。

登記事項証明書に種類があることを知っていればあらかじめ「全部事項証明書でよいか」を確認することもできますし、オンラインで申請すれば手間は大幅に節約できます。必要な登記事項証明書を、申請の流れを理解してより簡単に、自分の状況に最も適した方法で取得しましょう。